大田原市、黒磯市、湯津上村、黒羽町、那須町、西那須野町及び塩原町による同一請求に基づく合併協議会の設置についての反対討論を行います。
那須町において、合併の議論は、平成13年6月、4市町村のステップアップ研究会が設置されたのが、始まりで、以降那須町合併問題研究会、4市町合併研究会での調査、14年10月には2000人を抽出して、アンケート調査が行われたのは、周知の事実であります。
なぜ合併なのか?なぜ単独なのか?議論がされたことがあるのでしょうか?メリット、デメリットがそれをさしているのでしょうか。短期的な財政上の争点が中心に論じられてきたようにしか思えません。自分たちの、子々孫々にいたるこれからの時代に、町の将来はどうあるべきか、もう一度、問いかけて見る必要があります。「合併の情報は、自分が最も有利になるように提供される」という近視眼的な考えにより結論を出すことが儘あるが、賛成意見も反対意見も成熟させて、初めて合併の賛否を問うプロセスのあることが必要です。
私は、これまで、国や県や他市町村の合併に関する研究資料に目を通したり、合併に関する講演会や、地域住民の会合に出席し、様々な合併賛成論や合併反対論の意見を聞いてきました。それらを色々な角度から検討し、考察した結果、次のようになります。
まず、第一に、国の施策に対して疑問を感じます。国が、700兆にも及ぶ赤字国債、財政破綻のツケを私たちの身近な市町村に押し付け、「合併をしなければ、補助金や交付金の削減などによって地方財政が逼迫しますよ」と、合併を勧めているという事実を払拭する事ができません。また、合併特例法についてですが、合併特例債は見せ掛けの財政援助であり、住民投票条例は、市町村合併という課題が多くの論点を含んでおり総合的評価をしなければ結論を出せない課題にも係わらず、住民の関心がある争点の結論の良し悪しのみが投票結果に結びつき易いという問題点があります。
次に、黒磯市など、近隣市町村の動向も決断にあたって重要なポイントになります。平成15年1月、黒磯市、西那須野町、塩原町の法定合併協議会ができたときの要因分析、住民発議による住民投票条例の議決、その後の合併協議会設置請求の議会付議など、その分岐点での論議を、私が当該の議会傍聴した結果、7ヶ市町村の地域全体から見ると変則的な枠組みの中での合併しかないような討論にいささか疑問を感じていました。このような状況で那須町が合併に加われる可能性は、なに一つ見出せません。
次に、合併論議をする過程で、昭和の合併をも検証してみることも大切であります。昭和29年合併の時、当時の町長、益子仁助氏は、開庁式の式辞において「新しい那須町は町民の要望に添いつつ合併計画の主旨に従い、町財政力を強化し行政能力の向上を図り益々町住民の一致協力の下に明朗なる大那須町政の発展を期し地方自治本来の使命を達成し以って町住民の福祉を高め住み良い郷土の建設を祈念して止まない。」と述べ、後藤良一 参与は、「時代の進歩により、交通その他文化の発達に伴い町村の合併は新しい時代の必然の要請でありこのことにおいて経費の節差を測り、財政的に大きなプラスとなり、町民の福祉が増大されるのであります。また 今後、那須町の建設のためには、幾多の苦難がありましょうが、那須町民一体となり、一個人の利害関係や、狭い部落根性に囚われず、那須山の如く雄々しく、燃える如き情熱を持って合併の目的達成に努めますなら、新しい町作りも至難ではないと信じます。と述べています。
前者は財政力の強化、行政能力の向上を図ること、後者は、合併の必然性、町民一体となる姿勢を望んだ発言であると思います。これを、みますと、合併に対する考えが成熟していることがわかります。はたして、平成の合併はここまでの成熟に達しているでしょうか?
次に、那須町の特性についてふれてみたいと思います。那須温泉、那須の観光資源について、観光がなぜ21世紀産業なのか?考えてみたことがありますか。観光基本計画の中で述べているように、観光立町としての長期的視野に立って、国立公園内の豊富な自然と素晴らしい景観を持続的な観光地として特化していくためには、開発行為がすべてではありません。基本理念として「人本主義、原点復帰」を挙げ、自然、温泉、共生の風土からの出発」と定義しています。那須町は、長年にわたり、ロイヤルイメージと自然、温泉を、基本的な集客要因として、観光の持続的発展をしてきました。合併に際し、湯布院温泉が、湯布の名前を使わないでほしいという要望が出された。これは、湯布院の存在が、広域化によって名称そのものが「薄まる」ことを懸念した要望である。那須市の那須も又、同じ事が考えられるのであります。今後も、那須町においては、資源の保護、環境、景観の整備、情報の発信強化に重点を置き施策を進めなければなりません。また農林畜産業においても、単に食料の生産基地だけでなく、循環型社会の構築の原点である自然の重要性と持続可能な町作りとして、環境への負荷が少なく、自然と人間との共生が確保された町、そして、町自らが主体となって継続的な活動を進める町作りが重要で有ります。
次に、地形と生活圏の問題について那須と黒磯市の境には、大河「那珂川」があり、その交通。交流の一体化が難しいのではないでしょうか。これから巨額投資をして、橋を何本も作ることは到底考えられないことである。
日常生活において、これ以上のスピードアップが必要か・合併によって買い物や通勤にかかる時間や利便性を向上させるという議論は必要ではありません。合併は、生活の一体感、経済活動の拠点 物流の範囲など、広域になるのが有効である考えもあるが、地産地消、スローな生活といわれるご時世、これ以上の生活圏の利便性向上は必要ないであろう。移動距離においても昭和29年の合併時、からインフラの状況は一転している。砂利道の道路、ボンネットバス、集落に数台しかない車等の時代から、一人一台の車社会と比較した時、当時の合併の評価は「的」を得ている。人が移動するスピードは、昭和29年合併の時とその後のモータリゼーションの進化と一緒に考えられません。
那須町は、どんな組み合わせの合併しても、中心となれない地域であります。昭和の合併を見直してみても、役場が支所になり、小学校は残っても中学校は統合中学校へという事が一般的にはそこに住む必然性がない地域になっていくことであります。その他、エネルギーの問題、環境汚染、水源の問題、自治権の問題、高齢化社会の対応、地域文化、芸能、教育 私達の身近な問題も、大きくなれば解決するという根拠は無く、むしろ住民の求めているものは小さい自治体の方が好ましい場合が多いといえます。
最後に、財政的な問題について2004年那須町において地方交付税は、昨年比9,2%の減額は既定の事実であり、県の平均においても9,9%の減額となっています。合併をしても、しなくても国の地方交付税の減額は継続し、一方、不公平の分配もありえず、地方自治体は、更に経費節減の施策に取り組まなければなりません。市町村合併で色々な考察から、那須町にとって、重要な問題は、自治体運営の効率化であり、観光産業で財政が成り立っていくか・少子高齢化社会での福祉政策をどうするかどうかであります。具体的な方策として、再度、事務体制の見直し、職員等の人件費の削減、事業、補助金の見直しの徹底的な取り組みが必要であります。地方制度審議会の地方自治制度のあり方に関する答申によると、合併に関する新たな法律の下でも当面合併に至ることが客観的に困難である市町村に対して、合併の進捗状況や市町村の具体的なニーズを踏まえ、基礎自治体のみによって構成される広域連合制度の充実等の広域連携の方策により対応することについて検討を進める必要がある。また、地方税財政のあり方について、国税と地方税の税源配分が1対1になることを目指して地方財源の充実をはかり、三位一体の改革においては、離島、中山間地域等条件不利地域における財政力格差の適切な調整に留意する事も必要であると答申している。さらに、地方交付税改革についても、財源調整機能だけに特化すべきとの意見があるが、地方交付税を通じた財源保障機能は、国が地方公共団体に対して仕事を義務づけ又は実質的に地域格差を生じないことを前提に仕事を委ねる仕組みとしていることと不可分の関係にあり、こうした仕組みが存続していく限りにおいては必要不可欠のものであるため、これを維持していく必要性も説いている。
これら、様々な課題を考察すると、特例債の期限が迫ったからといって、拙速な合併するという判断は必要ないのであります。合併という手段を選ばず、現在、機能している消防、火葬場、廃棄物の処理など広域事業組合の充実と道路管理、介護保険の認定業務、病院の設置、下水道、文化ホール、人事交流、更なる連携強化によって、歳出の削減に努力し、安定した財政基盤の確立と行政サービスの向上にむけた取り組みによって、那須町独自の21世紀にふさわしい行政の姿勢を期待して、大田原市、黒磯市、湯津上村、黒羽町、那須町、西那須野町及び塩原町による同一請求に基づく合併協議会の設置についての議案に反対するものであります。
(約6ヶ月の期間、講演会、新聞報道、住民との意見交換、他市町村の動向などの情報を元に、集大成したものが、今回の反対討論という形で結論を纏めたものです。)

七月二十八日、那須町文化センターで「市町村合併を考える」
という標題で作新学院大学教授の沼田良氏の講演会がありました。
沼田氏の講演内容にもとづいて、講演会の資料からその概要を紹介します。
○役所が統合されて経常経費の削減が見込まれる。
○行政区画の変更によって合理的な境界線が生まれる場合がある。
○事業体が大型化するので事業投資も集中化できる
○公共サービスの水準はどうなるか?
○周辺部のコミュニティーや地域の歴史、文化は生き残れるか?
○装いをこらした財政改革行。
1 空前の財政危機、693兆円の公的債務(うち地方分は195兆円)
2 地方分権の一環「地方行政主体の自立」をねらう受け皿論
3 生活圏の拡大、グローバリゼーション、地域間競争、振興整備
4 小規模な町村の弊害、過疎化、少子高齢化、介護保険の重さ
1万人以下は、約1500団体(45%)、2万人未満では約2200団体(70%)
町や村の体裁をなさない状態にいたる傾向への危機意識
* 県の合併要綱(平成十二年一月) 那須町は2案(別冊資料)
1 那須町、黒磯市の2市町案
2 加えて大田原市、湯津上村、黒羽町、西那須野町、塩原町の7市町村案
* 合併を考えるためのポイント…・・「自主的」の意味
1 市民生活の視点
まちの合併は銀行などの合併とは質が異なる
役所の都合に終始しないためには市民生活の視点が必要
生活と深くかかわる「地域」の将来像やアイデンテイテイ―を視野に入れる
2 「省庁再編」、と「市町町村合併」に挟まれて府県の流動化が進む
総務省の室長は「あと10年もすれば栃木県はなくなる」とさえ言う。
3 大久保利通の市町村イメージ(明治十二年)
市町村に「二種の性質」(「行政の区画」と「住民民社会独立の区画」)がある
日本の近代化を進めるために前者を採用して後者を留保した
国の行政区画から地域の自治の単位へ
4 自己決定としての合併は自治の試金石
地方分権の推進で宣言された「自己決定権の拡充」が試されている
本当に問われているのは「合併」ではなく、「自治治」である
合併をきっかけに自治体が本格的な自治をおこなえるかどうか
(「講演会資料」より引用・要約)
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